種まきの日。妹に恋人!?
来年の選抜トーナメントで優勝できるように鍛えなきゃ!・・・っと言いたいところですが、今日はギート麦の種まきの日。
ダンジョンには行けないのです。
ファルマ「よ!チロル」
チロル「兄さん!農地こっちじゃないのに、わざわざ来てくれたの?」
ファルマ「まーな。それと、俺だけじゃないぞ。ほら」
ドナルド「やぁ、頑張ってるみたいだね」
チロル「ドナルド君まで!どうしたの?」
ドナルド「無理に働いてないか見に来たんだ」
チロル「大丈夫だよ、無理なんてしないから」
ファルマ「チロルは妊婦になっても動き回ってるから目が離せないよな」
ドナルド「あはは・・・」
働く私の前で話し込む2人。いつの間にそんなに仲良くなったのかしら?まぁ夫と兄の仲が良いのは喜ばしいことですけどね。
兄さんの言葉がチクチク刺さるけど、仕方ないじゃない。アイマルさんの弟子になるのと、『龍騎士になる』っていう夢が私にはあるんだから。
ファルマ「あんな大きい腹で動き回られたらドナルドも気が気じゃないだろう。外に出ないように言ったらどうだ?」
ドナルド「いえ、まったく外に出ないっていうのは可哀想です。度が過ぎなければ仕事をしてもいいし、探索も行って良いと思います。オレはチロルの夢を尊重したいんです」
ファルマ「・・・そっか」
種の配布に勤しむ私を見つめながら言うドナルド君は微笑んでいました。心の底からそう思っている、と言っているようで私は嬉しかった。
兄さんもそれ以上口を挟む気は起きなくなったみたい。
ドナルド君にはアイマルさんのことや私の夢のことは話しているし、それに関して応援すると言ってくれて安心しています。
・・・鍛えなきゃ、なんて思ったけど焦って無茶して優しいドナルド君に心配させちゃダメよね。せっかく応援してくれてるんだから。
ファルマ「あ、そうだチロル。知ってるか?」
チロル「何を?」
次の日の昼。私は街門広場で目を光らせていた。
兄さんもお母さんも知ってたのに、私だけ知らなかったなんて。もー、なんで教えてくれないのー!
チロル「あ、来た」
男の子と一緒に現れたチルちゃんを追いかけて行ったら、目的地は滝でした。
チル「あれ、姉さん」
チロル「ひどいよチルちゃん、恋人出来たのに教えてくれないなんて・・・ぐすん(つ_<。)」
チル「え!?ご、ごめんね姉さん!泣かないでヾ(・д・`;))ノアワアワ」
可愛い妹に恋人が出来ました。
セルヒオ・カブレルという男の子で、キリッとした眉と目が印象的です。チルちゃんと同い年なんですって。
知らされていなかったことは寂しくはありますが、チルちゃんに恋人が出来たのは私としても喜ばしいことなので良しとしますか!